■情熱大陸 2008年2月10日放送分
2月10日放送の毎日放送「情熱大陸」は偶然にも福田健二の物語だった。2005年にスポーツライターの小宮良之氏が雑誌Numberで発表した「遺書」という記事で、福田の生い立ちなどを紹介して以降、福田を見る目がいろいろな意味で変わったサッカーファンも多かったのではないかと思っている。かくいう僕自身もそうだった。
ただ、だからと言って福田を盲目的に応援するのかといえば、必ずしもそういうわけでもない。福田健二というサッカー選手が凄いと思っているのは事実で、自分が過ごしてきた人生で、最も大きな一部分を占めているスペインという国の、自分が愛するクラブと同じリーグで戦っているということからも妙な親近感を勝手に持っているのも事実だけれど、それらの事由だけで彼を無条件で応援しようというわけではない。
偶然なのかそうでないのかはわからないけれど、現在販売されている雑誌Numberでは、福田のインタビュー記事も掲載されていて、その中で福田はカステジョン、ヌマンシア、ラス・パルマスと既にスペインのクラブを3つ渡り歩いている「実績」の秘訣の一つとして「言葉」を挙げている。つまり、スペイン語を話せることがスペインで生き抜いているポイントの一つであると。
福田は2003年12月にベガルタ仙台からパラグアイのグアラニにレンタル移籍。2004年シーズンをグアラニでプレーした後、2005年シーズンはメキシコのパチューカ、イラプアトで過ごし、その後セグンダAのカステジョンにレンタル移籍。後半戦の17試合に出場して2得点を挙げ、翌2006-2007シーズンはヌマンシアに再度レンタル移籍し、丸々1シーズンをヌマンシアでプレーし39試合で10得点。ヌマンシアは翌シーズン、つまり今シーズン本格的に昇格を狙うため、福田の完全移籍を目指したが仙台側が要求した移籍金がヌマンシアの考える一人の選手獲得にかけられる予算をオーバーしていた関係で実現できず、ヌマンシア側は2007年12月の福田と仙台の契約切れを狙って移籍金フリーでの獲得を目指す方向性に切り替えた。ところが、急転直下、カナリアス諸島グラン・カナリアに本拠を持つラス・パルマスが完全移籍で福田を獲得。福田は連続して3シーズンをスペインで過ごす初めての日本人選手となった。
これまで、城彰二や西澤明訓、大久保嘉人がそれぞれバリャドリー、エスパニョール、マジョルカといずれもプリメーラのクラブに所属してきたが、言葉は悪いが大した結果も残せず、日本に帰国している。
特に城、西澤の時には自分自身がスペインに住んでいて、城に至っては数ヶ月ズレてはいるものの同じ街に住んでいたこともあり、日本のマスコミや女性ファンの異常な行動を僕自身も揶揄されたりしたものだった。
城はマスコミの取材に対し、「あなたが一番好きなスペイン語は?」という問いに「Tira!(シュート撃て!)です」と答え、記者達の失笑を買ったり、西澤もエスパニョールの番記者に「Buenos dias(=おはよう)」と声をかけたら翌日のSport(バルセローナ本社のスポーツ紙)に「アキノリ、ついにスペイン語を喋る!!」などと驚きをもって報じられるなど、イメージとして「日本人はスペイン語など話せない、話せるようにならない、話そうという努力をしない」というものが刷り込まれていた。
そんな中でやってきた福田健二である。Wikipediaにも紹介されているが、ヌマンシアには以前韓国代表の李天秀が所属しており、全く使えないまま韓国に帰国しているためかなり懐疑的な視線を向けられていたらしいが、蓋を開けてみれば普通に言葉が通じ会話ができるというだけで大分見方も違ったことだろう。
Numberの記事中でも福田が口にしているけれど、「サッカー選手なんだからサッカーだけしていれば文句は無いだろう」では通用しない部分がある。彼の言うとおり、練習中の2〜3時間、試合中の2時間以外はサッカーは関係ない。街に出れば新聞、飲み物、食べ物、服、その他生活に必要な全てのものを手に入れようとすればスペイン語が喋れなければ何もできない。そこで「英語が通じないから不便だ」などという戯言は通用しない。なぜならスペインの公用語はカステジャーノ(標準スペイン語)であり、カタルーニャ語であり、バスク語であり、ガリシア語だからだ。英語が通用しないのは当たり前で、英語圏の人間が日本に来て、市役所に行って「どうして英語を話せるスタッフがいないんだ!」とクレームを付けることの愚かさを想像してみれば簡単に理解できるだろう。
福田がグアラニに移籍した当初、クラブから通訳を付けることを半ば強制的に否定され、何が何でもスペイン語を話せるようにならなければ何もできない状況だったことが、結果的に今の彼にとって大きなアドバンテージになっていることは間違いないだろうと思う。
とにかく、スペイン語圏の人間というのは人種に関係なく「スペイン語を話せる=意思疎通ができる」というだけで大抵の場合親近感を感じて心の壁をある程度まで下げてくれる傾向が強い。反対に、いつまでも喋れないままで、尚且つ話せるようになろうという姿勢すら見えない場合はそこで終わりである。どんなにサッカーが上手くても。ヨハン・クライフがあそこまでバルセローナの人間に愛される理由は、スペイン語だけでなくカタルーニャ語もある程度話そうとしたからだというのは有名な話だ。
中田英寿がイタリアであれほどの実績をあげられたのは、ほぼ完璧に近い状態までイタリア語を話せるようになったからだろう。同じことが福田にも言えるのかもしれない。
よく「サッカーに国境は無い」と言われるが、確かにサッカー自体に国境は無いし、ボール一つあれば誰でも一緒にプレーできる。しかし、サッカーに国境は無くても人と人の間には言葉と言う壁がある。特に明日どうなるかわからないようなプロの世界において、「多分パスが欲しいのだろう。恐らくは足元に」などと相手を想像するしかないような曖昧な相手にパスを出すよりも、「俺が縦に走る時には必ず浮き球のパスをよこせ」と明確に意思表示してくれる相手のほうにパスを出すのはごく自然なことだ。
中田をはじめ、高原、小野、中村といった選手達はほぼ例外なく現地の言葉をある程度マスターし、日常生活とプレー中の意思疎通ができるレベルはクリアしていた。ところが、スペインでプレーしてきたこれまでの日本人選手達は、個人的に知り合いでも何でもないから本当のところは知る由も無いとは言え、少なくともテレビや現地スペインの報道を見ている限りでは、とても日常生活レベルで通用するスペイン語を話せていたとは言い難い。
本当に極論になるけれど、僕は「だから実績を残せなかった」と思っている。実力的には十分通用するレベルではあったはずだ。城にしても西澤にしても大久保にしても、もっとやれたはずとは思うけれど、城はビクトルやカミネーロに「俺がボールを受けるからお前は裏に走れ。お前が裏に抜けたら俺は中央に回るからすぐにクロスを上げろ。俺が落とせばそこにカミネーロを走らせる。わかったかカミネーロ!」と言えただろうか。西澤はマルティン・ポッセやタムードに「とにかく俺にボールを預けてくれ。裏に抜けてくれれば必ずリターンを出すから。トレードのクロスには必ず俺が飛び込むから、お前らは逆サイドでこぼれ球を狙ってくれ」と主張できたのだろうか。恐らく、答えは否だろう。こんな主張ができていたなら背後に誰もいないフリーの状況で、自分に入ってきた楔のボールをボランチにダイレクトで戻すような無駄なプレーはしないだろう。
人はそれぞれが置かれた状況で、その状況を切り開いて生き抜いて行かなければならない。月並みな言い方だけれど、立ち止まることは許されず、立ち止まった瞬間に自分自身の可能性が潰えてしまう。そして、切り開くための能力やパーツを自然に身に付ける人、何が必要か気付いて身に付けようとする人、何が必要かわかっているのにただ待つだけの人、身に付ける方法がわからず立ち竦む人。様々な人がいるけれど、福田健二の場合は恐らく「身に付けざるを得ない状況に置かれて、尚且つ身に付けた人」ということになるのだろうと僕は思う。
ラス・パルマスの置かれた状況や彼自身の現在の状況からして、昨シーズンのような実績を残すのはクラブとしても個人としても難しいだろう。
でも僕は期待してしまう。彼が来シーズンもスペインにいて、セグンダAでもプリメーラでもどこでもいいからプレーし、相手や味方と怒鳴りあいながらゴール前で体を張り続ける姿を見られることを。
¡Venga,Kenji! ¡Mete la pelota a la portería!
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マテオ・アレマニー、スペインサッカー協会会長選挙へ出馬の意向。「スペインサッカー界は根本的且つ抜本的な変化が必要だ」
1週間ほど前の記事ではあるのだけれど、日本のスポーツメディアでは一切触れられていないので紹介しておこうと思う。
現在のRal Federación Española de Fútbol=王立スペインサッカー協会の会長はアンヘル・マリア・ビジャール。98年からはFIFAのエグゼクティブ・メンバーも努めており、スペイン語圏のサッカー界には非常に強い影響力を持っていると噂されている。
スペインサッカー協会会長に就任したのは1988年。以来、92年、96年、2000年、2004年と再選を続け、現在は5期目を努めている最中。規則どおりであれば、今年の5月30日に会長選挙が行われるはずだが、果たしてどうなるのか。
ビジャールはビルバオ出身で、アトレティック・クルブ・デ・ビルバオの下部組織育ち。1971年9月9日にトップチームでデビューしている。アトレティックはセグンダ降格はしていないので、もちろんデビューはプリメーラ・ディビシオン。1973年のコパ・ヘネラリスモ(フランコ独裁時代のコパ・デル・レイ別称)優勝、1977年のUEFAカップ準優勝にも貢献し、1981年に現役を引退している。
プロ選手としても活躍しながら法律学も大学で学び、現役としてプレーしながら弁護士資格も取得。1978年に設立されたAFE=Asociación de Fútbolistas Españoles(スペインサッカー選手協会)の設立メンバーでもある。
今回、FARO DE VIGOが記事に取り上げているマテオ・アレマニーは、前マジョルカ会長。経歴については探してみたがスペイン語版のWikipediaにも載っておらず、イマイチはっきりしない。確か彼はバレアレス地方では有名な企業家か何かで、よくプライベート・ジェットで移動していると聞いたことがあるし、マジョルカがカップウィナーズ・カップの決勝に出場した時にもイングランドまでプライベート・ジェットで移動していたはず。セグンダの常連だったマジョルカをエクトル・クーペルの招聘やビセンテ・エンゴンガ、ミケル・ソレール、シビエロ、オライソラ、パウノヴィッチなどの獲得で強化し、一気にリーガの中位まで押し上げた功績を持っている。
アレマニーと一緒に並んで記者会見に臨んだのはアルフレード・ロドリゲス。セルタの元ゼネラル・マネージャーで、前セルタ会長のオラシオ・ゴメスと同時にセルタにやってきて、2002年まではゼネラル・マネージャーを努めていたはず。その後はフェリクス・カルネーロに交代している。かなり仕事のできる男で、僕も何度かバライードスで彼と話したことがあるが、国外のマーケットにも目を向けており、ヨーロッパに安定して出場できる基盤を築き、海外での知名度も上げて行きたいというようなことをよく言っていた。
どうやら、アレマニーとロドリゲスが組んで会長選挙に打って出るらしいのだが、その主張はどうやら協会利権の中央集中を解消し、低迷する地方協会への利益分配とスペインサッカーのイメージアップという2点に集約されるらしい。
イメージアップといえばここ数年、スペイン代表戦や欧州カップにおいて、スペイン国内のスタジアムにおいて黒人選手への侮辱を始めとする人種差別問題が話題になることが多く、代表監督のルイス・アラゴネスが自身の発言を開き直りとも取れる形で正当化するなど、物議を醸し出してきた。アレマニーは「こういった悪いイメージを払拭し、地方のサッカー協会が効果的な選手育成・強化を行えるようにしなければならない」と語っていて、既に「70%の関係者の支持を取り付けている」とコメントしているようだ。
地方協会への利益分配や地方協会がきちんと育成・強化を行えるようにするというのは素晴らしいと思うのだけれど、イメージアップについてはどうだろうか。
これはサッカー協会そのものの問題というよりも、スペインと言う国歌の問題になってしまうと僕は思う。
人種差別に関して言うと、スペインは差別的な言動や振る舞いが比較的目に付きやすい国であることは恐らく間違いないだろうと思っている。これは住んでいる人であれば確かにと思ってもらえるだろうと思うけれど。
差別と言っても昔のアメリカみたく、有色人種はバスに乗らせてもらえないとか、レストランへの立ち入り禁止やトイレの使い分けみたいなことではなく、言葉の上でのことのほうが多いだろう。そこには立ち振る舞いも当然含まれるのだけれど。
僕達日本人に対してで言えば、彼らはよく僕達に対して「おい、チーノ!」と言ったりする。チーノ(Chino)というのは有名だが「中国人」という意味で、彼らにとってみれば東アジア人である中国人も日本人も韓国人も皆まとめて「Chino=中国人」だ。下卑た笑みを浮かべながら見下した視線を向けて、尚且つ両目の端を自分の指で吊り上げて吊り目をご丁寧に作ってから「おい、チーノ!チン・チョン・チュン・シャン・ション…!」などと東アジア地域での言語発音を真似てバカにしてくれる。
黒人に対しても同様で、彼らにしてみればアフリカ人でもアフリカ系アメリカ人でもオセアニア地域の黒人でも何でもかんでも「アフリカ人」か「サル野朗」である。
まあ、こんな差別的な振る舞いをするような連中は元々がレベルの低い連中であるわけで、街中でやられた場合には近づいて顔面を1、2発殴ってやれば済む話なのだが、こういう連中ほど本気でなくても、ブーイングと同じような軽いノリでチーノだのアフリカ野朗だのサル野朗だのと言う人は意外と多いのだ。
子供の頃から周りの大人やテレビの中でそういう台詞が普通に繰り出されているわけだから、今更「イメージを直しましょう」と言われたところでそう簡単に直るとも思えない。
日本の50代〜60代のお偉い人たちに対して、「曖昧なキーワードを口にしてご満悦になるのはやめてください」と頼んだところで具体性のある会話をする訓練がされていないのだからできないのと同じことだろう。
5月30日に、アンヘル・マリア・ビジャールが思わぬ強権発動でもしない限りは会長選挙は行われるのだろうけれど、マテオ・アレマニーとアルフレード・ロドリゲスがどのような戦いを見せるのか、ちょっと注目してみたい。個人的にはアルフレード・ロドリゲスがどんな仕事をするかに興味はあるのだけれど…。
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■スーパーサッカー番組内での紹介について。
あら捜しをしたところで大した意味もないし、いきり立って抗議の電話やメールをするつもりも全く無いのだけれど、事実と違うことをセルタに興味を持つかもしれない数人の人に認識されても困るので、一応指摘だけ。
昨日のTBSスーパーサッカーにおいて、EURO2008特集をやっており、過去の歴史紹介みたいなコーナーの中で96年大会のブルガリア代表でプレーしていたフリスト・ストイチコフ大先生のFKが紹介されていた。
その紹介ナレーションが「現在はスペインのセルタで指揮官として活躍中」というようなニュアンスのことを語っていたのだが、番組スタッフはきちんと現状の調査をしなかったか、シーズン開幕前のクラブ・監督・選手データベースみたいなものだけを見て資料を作ったのだろう。
いるかいないかはわからないが、昨日の放送を見て「ストイチコフ」などという検索キーワードでこのブログに来た方のために申し上げておくと、フリスト・ストイチコフ大先生は昨年の10月の段階で既にセルタ・デ・ビーゴの監督を辞任兼解任されており、それ以降は元レアル・マドリー監督のフアン・ラモン・ロペス・カーロが監督を努めている。
ウィキペディアを見ただけなのか、それともスポーツナビを見ただけなのかはわからないが、もうちょっときちんと調べてから情報を電波に乗せたほうがいいと個人的には思うのだが。…まあいいや。
■Fútbol Segunda División
| リーガエスパニョーラ(セグンダ・ディビシオンA)第24節-1日目 | ||
| ラス・パルマス | 2-2 | ラシン・デ・フェロール |
| カステジョン | 3-1 | ジムナスティック |
| コルドバ | 2-1 | マラガ |
| アラベス | 1-0 | セビージャ・アトレティコ |
本題はこちら。またまた毎週のように番狂わせが勃発。コルドバにマラガが破れ、カステジョンがジムナスティックを順当に破ったことで、暫定ながら3位に浮上。
本日12時(スペイン時間)にエルチェのホーム、マルティネス・バレーロで行われるエルチェ対スポルティングの試合結果によっては、とうとうスポルティングが昇格圏を明け渡すことになる。
セルタはセルタで今日のエイバル戦に勝つことができれば、エルチェ対スポルティングの結果が引き分けにでもなった場合は単独で3位に躍り出る上、首位マラガとの勝ち点差も一気に7ポイントまで詰め寄ることができる。
数日前、FARO DE VIGOの取材に答えたフリアン・バーラは、「僕達が目指さなければいけないのは『昇格圏3位以内に残ること』ではなくて、セグンダのチャンピオンになることです。だってそうでしょう?目標は最大のものを掲げていたって達成できないこともあるわけだから」と微妙なコメントを残している。どういうつもりで最後のセンテンスを口走ったのかは定かではないが、言っていることは理にかなっていると言わざるを得ない。
FBIだかCIAだかの合言葉は「最悪の事態を想定した行動を取りつつ、最良の結果を出す」とかなんとか、そんなようなものらしいけれど、バーラはそんな意味で言ったのかもしれない。
ただ、確かに「3位以内に入れればいい」という考え方だけでは3位以内に入ったとたんに取りこぼすことは十分にセルタの場合考えられるし、前回の降格の時だって38節までは首位だったのに終わってみれば3位でフィニッシュ。登録選手出場規約の問題などでゴタゴタしたとはいえ、一時期は10ポイントあった4位との差がなくなっての昇格だったことは忘れてはならない事実だろう。
気をつけなければいけないのは、セルタもレアル・ソシエダも下らない取りこぼしを繰り返した挙句、本来昇格レースに無関係で後半戦を迎えそうだったエルチェとカステジョンをレースに引き入れてしまったことにより、混戦が加速しそうなこと。
戦力的な比較をすれば選手のクオリティーで劣っているわけでもないのにこの2つのクラブと昇格を争うというのはいただけない。曲者であることは間違いないけれど、がっぷりと組み合う必要性は一切ないはずだ。
今後の試合ではなるべく無駄な取りこぼしをしないように、しっかりとしたリスク管理をしながらの試合展開が必要になるのは間違いないのだが、恐らくそんなことを外野がいくら言っても何度でも同じことを繰り返すクラブだから、あまり効果はないだろう…。悲しいことながら。
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| リーガエスパニョーラ(セグンダ・ディビシオンA)第22節-1日目結果 | ||
| テネリフェ | 1-1 | セビージャ・アトレティコ |
| アラベス | 1-1 | ジムナスティック |
| ポリデポルティーボ・エヒード | 1-1 | スポルティング |
| エルチェ | 1-1 | アルバセーテ |
| ラス・パルマス | 1-2 | ヌマンシア |
さて、昇格を狙っているクラブにとってはこれ以上ないほど都合のいい展開となった。第22節の1日目を終えた段階で、昇格圏内にいる上位3チームのうち、勝利を収めたのはヌマンシアのみ。スポルティングはポリ・エヒードにアウェーとはいえまさかの引き分けに終わっている。
この記事を書いている日本時間27日の午後20時45分現在では、エルマンティコで行われているサラマンカ対マラガもスコアレスのため、この時点では4位と昇格圏内との差はわずか1ポイント。今日試合のあるレアル・ソシエダは是が非でもカステジョンに勝利して昇格圏内に入りたいところ。セルタもエル・アルカンヘルで行われるアウェーのコルドバ戦に勝てば昇格圏に1ポイントまで再び迫ることになる。問題はしっかりと勝てるかどうかだが…。
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ビクトル・フェルナンデス「理想の中では現実よりも上手く行っていたのだが」
ビクトル・フェルナンデスはセルタファンにとって、バルセローナファンにとってのヨハン・クライフのようなもの。
レアル・サラゴサでラドミール・アンティッチのアシスタント・コーチ(スペインでは第2監督と呼ばれる)として1988年に28歳の若さで指導者としてのキャリアをスタートさせ、1990年には30歳で監督に就任。翌91-92シーズンにはコパ・デル・レイ決勝に進出し、キンタ・デ・ブイトレがまだ生き残っていたレアル・マドリーに0-2で敗れるものの、準優勝の成績を残し、93-94シーズンには再びコパ・デル・レイ決勝に進出。サンティアゴ・ベルナベウで行われた決勝ではサンティアゴ・カニサーレスがゴールマウスを守り、チェチュ・ロホが指揮するセルタと対戦し、見事優勝。当時「欧州3大カップ」と呼ばれていたカップ戦の一つ、カップウィナーズ・カップへの出場権を手に入れ、94-95シーズンにはフアン・エドゥアルド・エスナイデルを軸にカップウィナーズ・カップでも見事に優勝を果たした。この時わずか34歳。
98-99シーズンにセルタの監督に就任し、その後のセルタの躍進があって、今僕はこんなブログを書いている。彼がいなかったら恐らくこのブログはこの世の中に存在していなかったことはほぼ間違いない。
そんな彼は学校で哲学を専攻していたらしく、記者会見などでのコメントも実に哲学的であまり直接的なコメントを発することは多くない。記者をはぐらかすような微妙な言い回しや、わかったようなわからなような軽妙な例え話でその場をやり過ごしてしまう。言ってみれば、イビツァ・オシムみたいな記者会見をする監督だった。
生まれも育ちもアラゴン地方の人間だけあって、若い頃からサラゴサのファンだったらしく、サラゴサにはずっと特別な感情を持っていたという話は度々聞いていた。だからこそ、今回の解任劇はショックでもあり、内心ホッとしたところもあったのだろう。詳しい話はスポーツナビの記事のほうが読みやすいだろうからそっちを読んでもらいたい。
ただ、タイトルのMARCAの記事に飛んでもらい、記者会見の動画を見てもらうとわかるが、彼があれだけ記者会見でダイレクトに「もう監督としてサラゴサに戻ってくることは金輪際ないよ(笑)。次があるとすれば会長とか、GMとか…なにかその辺がいいな(笑)」とぶっちゃけていたことが意外だった。つまりは、それだけサラゴサというクラブを愛していたのだろう。
恐らく彼にとってはサラゴサが自分のサッカー人生の象徴みたいなものなんだろうと僕は思う。選手としてはテルセーラ止まりだった彼が、若干28歳で監督としてのキャリアをスタートさせ、同い年の選手がまだまだ現役としてバリバリにプレーしている最中に欧州カップで優勝。様々な思いを交差させながら当時の彼はサラゴサで戦っていたのではないだろうか。
セルタが最も波に乗っていた時期、40歳だった彼も既に48歳。昨シーズンのサラゴサの試合をダイジェストで少しだけ見たことがあるけれど、チームのリズムが「あの頃」のセルタに酷似していたのを感じて、何だか懐かしいものを見たようなそんな気がした。
しかし、何だかんだで毎年切れることなく監督業を続けているというのは、それはそれで凄いことかもしれない。
一度、ビーゴ市内のカフェで彼とバッタリ会って、お互いに顔を覚えていたこともあり話をしたことがあるけれど、その時に言っていた「日本には非常に興味があるんだよ。カナダを旅行した時に同じバスで一緒だった日本人の夫婦がとても親切でね。ガイドブックももらって家に置いてある。落ち着いたら3ヶ月くらいかけてじっくり旅行してみたいと思っているんだ」という望みは、今年は実現するのだろうか。まあ、忘れてるかもしれないけど。
そのうちレアル・マドリーの監督になるだろうとか言われていたが、それはどうなのかという感じはする。今のレアル・マドリーだと監督にもブランドや出自を求めそうな感じがするので、今のキャリアだと難しいかもしれない。
まあ、ともかくお疲れ様。気が向いたら昇格した後にでもまたセルタに来てくれたら嬉しい。
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| リーガエスパニョーラ(セグンダ・ディビシオンA)第19節-1日目結果 | ||
| エイバル | 1-0 | アルバセーテ |
| カステジョン | 0-0 | ヌマンシア |
| カディス | 0-1 | マラガ |
ヌマンシアが引き分け、マラガが勝利したことでまたしても首位が入れ替わり。1位と2位はここ3ヶ月ほど変わっていないが、この両チームの入れ替わりはけっこう激しい。戦力的にも大差ないクラブだし、両チームともプリメーラでの経験もあり、今シーズンにかける思いは並々ならないものがあるのだろう。それが結果に出ているという感じがする。
対して、3位のスポルティングはどうなのかというのが気になるけれど、恐らく今年もまた毎年の如く途中で失速ということになりそうな気はする。ラ・レアルとセルタが調子を上げてきているというのもあるけれど、ここ何試合かスポルティングは勝ち点を思ったように伸ばせず、逆に4位以下のクラブにどんどん差を縮められている。
スポルティングは毎年毎年前半戦はそこそこの成績を上げるのだけれど、後半戦になると突然調子を落としてずるずると8位、9位あたりまで沈んでしまうことが多い。エル・モリノーンの雰囲気は熱いし、ここ4〜5年でリーガ・エスパニョーラを見るようになった人達にも是非見て欲しいスタジアム、チームであるのは間違いないのだが…。
今シーズンに限っては、3枠ある昇格枠の1つをセルタが取るという前提でしか考えていないので、そうなるとスポルティングをまず蹴落としてセルタが上がるという計算になってしまう。もちろん、マラガやヌマンシアがコケるということだって十分にあり得る話ではあるのだが…。
■Las opciones del Celta pasan por el Heliodoro
エリオドロにセルタの昇格権が落ちている。
MARCAの記事ではスポルティングがコケることを前提にしたようなタイトルが付けられていて、エリオドロ・ロドリゲス・ロペスでセルタがテネリフェに勝てば、そこでセルタが昇格圏内に入るというようなことが書いてある。まあ、そんなに簡単に物事が運べば苦労はしないのだけれど。
スタメンは若干変更があるようで、18節で警告を受けているルベンがサスペンションで出場停止。センターバックは移籍の噂もあるコントレーラスとレキのコンビになるようだ。また、クインシーが既にアフリカ・カップ・オブ・ネーションズの事前合宿のためにガーナ代表に合流しているため、この試合から不在。本大会へのメンバーに登録された場合は最大6試合を欠場する見込みになっている。今節の場合は左サイドにマリオ・スアレスかホルヘを回して対処するか、もしくは4-4-2のボックスのようにしてしまい、中盤をビトーロ、ヌニェス、マリオ・スアレス、カノッビオにして、FWをディエゴ・コスタとペレーラにする可能性もある。
いずれにしても、毎度のことながら今後を見据えた場合この試合は落とせない試合。時差があるとはいえ、言い訳にはできない。
カナリアス諸島の空にこだまする凱歌はセルタのものかテネリフェのものか。新年最初の試合がもうすぐキックオフされる。
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さて、現在のリーガ・エスパニョーラ・セグンダ・ディビシオンAの順位表は以下の通り。
| 順位表(第18節終了時) | ||
| 順位 | チーム名 | 勝ち点 |
| 1 | ヌマンシア | 37 |
| 2 | マラガ | 36 |
| 3 | スポルティング | 31 |
| 4 | エルチェ | 29 |
| 5 | セルタ・デ・ビーゴ | 28 |
| 6 | レアル・ソシエダ | 28 |
| 7 | セビージャ・アトレティコ | 28 |
| 8 | エルクレス | 26 |
| 9 | テネリフェ | 25 |
| 10 | カディス | 25 |
| 11 | グラナダ74 | 25 |
| 12 | エイバル | 25 |
| 13 | サラマンカ | 23 |
| 14 | コルドバ | 22 |
| 15 | カステジョン | 21 |
| 16 | アラベス | 21 |
| 17 | ジムナスティック | 20 |
| 18 | ポリデポルティーボ・エヒード | 19 |
| 19 | アルバセーテ | 17 |
| 20 | ラシン・デ・フェロール | 17 |
| 21 | シェレス | 15 |
| 22 | ラス・パルマス | 14 |
昇格圏内にいるのがヌマンシア、マラガ、スポルティングという面々。その下で虎視眈々と昇格圏内を狙う第2グループがエルチェ、セルタ、レアル、セビージャ・アトレティコ、エルクレスといったところ。4位から8位までの5チームは、マラガはともかくとして3位のスポルティングを何とかして引き摺り下ろしたいところだろう。
レアル・ソシエダは新年早々の会長選挙でイニャキ・バディオーラが新会長に就任し、フラン・メリダをレンタルで獲得して見せるという話もしているようだけれど、監督のクリス・コールマンは「ヤツが会長になるなら私は出て行く」と常々言っていたりとどこかのタイミングで爆弾が破裂しそうな雰囲気を醸し出している。
セビージャ・アトレティコに関しては直接の問題ではないけれど、元々B登録でラシン・サンタンデールにレンタルで出されていたフアン・ホセ・エスポーシト・”フアンホ”がトップチームのカヌーテなどがアフリカ・カップ・オブ・ネーションズに参加して不在になることを前提にトップに昇格。恐らくこれでセビージャ・アトレティコに戻ってくることは今シーズン中はないだろう。
セルタに関しては今のところ移籍に関する話題はなし。そもそも誰かを連れてこれるほどお金に余裕があるとも思えないし、「仮に誰かを獲得するのであれば現有戦力よりも明らかに優れていると誰もが認める選手だけだ」と会長が豪語していたから、恐らく今回の冬には誰も獲得しない可能性が高い。ピントがバルサに狙われているとは報じられているけれど、特にその後大きな動きは無いし、バルサはバルサでアルナウなどOBの選手のほうが扱いやすいと言う部分もあるだろうからそっちに行ってもらいたい。
怪我で戦列を離れていたキプロス代表FWイアニニス・オッカスも既に練習には復帰しているいので、FWに関しては一応駒は揃っているということになる。問題はマンチェフなどがクラブを出て行くかどうかだけれど、ここまで戦力外になっているのに今更ロペス・カーロも使うつもりなど毛頭ないのだろう。移籍金が取れるのであれば取れるうちに売ってしまったほうがいいというクラブ側の判断があるのかどうか。
第19節といえば、プリメーラ・ディビシオンでは折り返し地点なのだけれど、セグンダAは全42節を戦う長丁場。つまり、あと3試合でようやく前半戦が終わるということになるため、まだまだ気は抜けない。セルタだってレアルだって、今この順位にいるからといって、2ヵ月後にどうなっているかはわかったものではない。
年始に前回の降格の時に書いていたブログのアーカイブを移してみたけれど、あの時も年明けの段階ではまだ昇格圏内には入っていなかった。
果たして今年はどんな年になるやら。まだまだ昇格について語り始めるには、時期尚早なのだろう。
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柏木は確かに有能な選手だと個人的には思うし、今後が楽しみで期待したい選手の一人なのは確かなのだけれど、それにしたってこのニュースは眉唾すぎて「おお、すげえ!」などと驚くことすら憚られる内容になっている。
以下引用<サンスポ.comより>
スペインリーグの強豪Rマドリードが、J2広島のU−23日本代表MF柏木陽介(20)獲得に乗り出していることが2日、明らかになった。
「最初はBチームでのプレーになるだろうが、獲得リスト上位なのは確か。スペインでも近々、報じられるはず」と、スペインリーグ関係者。すでにレアルの強化担当者が昨年の北京五輪アジア最終予選サウジアラビア戦、カタール戦を視察。今夏の獲得へ、五輪本大会以前のオファーも検討しているという。
柏木は創造的なプレーと運動量を兼ね備え、20歳ながら飛び級で反町ジャパンにも選出、A代表候補にも選ばれている。広島のJ2降格により柏、神戸がオファーを出しているが、すでに神戸を断るなど今夏の欧州移籍に向け、残留に気持ちも傾いているという。
レアルでは2部リーグのレアルBや、他クラブへのレンタルなどの“修行”も視野に入れているという。
仮にこの報道が真実だったとしよう。しかし、この記事中で「レアルB」と紹介されているレアル・マドリー・カスティージャは現在セグンダBに所属している。記事中では「2部リーグのレアルB」と言われているが、セグンダBは実質2部のセグンダAよりも更に下。つまり、3部リーグに相当するリーグでレアル・マドリー・カスティージャはプレーしている。コパ・デル・レイには出場できるが、セグンダBは全国リーグではなく、テルセーラ以下と同様の所謂「地域リーグ」でしかない。尚且つ、スペイン・プロフットボールリーグ連盟が管轄する全国統一リーグはプリメーラとセグンダAまで。要するに、セグンダB以下のリーグは一般的な「プロ・リーグ」ではなく、日本で言うJFL以下のリーグ戦でしかない。
さらに致命的なことが一つ。プロ選手として登録された外国人のプレーはセグンダB以下では禁止されている。セグンダBでプレーするクラブがセグンダA、そしてプリメーラへ昇格するのが厳しい理由はここにあると言っても過言ではない。…はずである。
「はずである」というのは少なくとも2003年頃まではこのレギュレーションが存在していたから。以前の記事にも書いたけれど、かつてアトレティコ・マドリーBに所属していた玉乃淳が帰国を余儀なくされたのはこのレギュレーションが原因だった。当時(1999年)、アトレティコBはセグンダAでなぜか優勝争いに食い込み、最終的にプリメーラ昇格圏内でシーズンを終えたのだけれど、ちょうどその年(99−00シーズン)に肝心のアトレティコがセグンダAへ降格してしまったため、「同一クラブのトップチームとそのBチームが同カテゴリーのリーグ戦でプレーすることは許されない」というレギュレーションに抵触し、自動的にセグンダBへ降格を余儀なくされた。この煽りを食って玉乃は日本への帰国を余儀なくされたとされている。
現在でもこのレギュレーションが変わったという大々的な話は聞かないので、恐らく生きているのだろう。そうなった場合、柏木がレアル・マドリーとプロ契約をした場合はレアル・マドリー・カスティージャがセグンダAに昇格しない限り、Bチーム、ならびに「2部リーグ」でプレーすることはかなわないはずだ。
そうなると疑問なのは記事中の「スペインリーグ関係者」とやらの存在が非常に疑わしく思えてくる。本当にスペインリーグ関係者であるならばこのレギュレーションを知らないということはあり得ず、知っていたとすれば何を考えてこんな発言をしているのかがわからない。
「スペインでも近々報じられるはず」という言葉に関しても疑問が残る。MARCAなどのスポーツ新聞でも確かに「Fútbol Internacional=外国のサッカー」というカテゴリーはあるが、今だかつてJリーグの話題が大々的に報じられているのを見たことが無いし、直近で日本サッカーの話題が紙面を飾ったのはアジアカップでオシムが選手を怒鳴りつけ、そのあまりの剣幕に通訳が泣き出したという話題を面白おかしく書きたてられたことと、当のオシムが病に倒れたことのみ。スペイン人からすればどこの馬の骨ともわからないアジア人の若いサッカー選手のニュースなど、一般的なスペイン人が知りたがる需要があるとも思えない。
記事中では他クラブへのレンタルも視野に入れているとされているが、他のプリメーラのクラブが受け入れるつもりなら最初から自分で獲得するだろうし、セグンダAに所属するクラブで興味を示しそうなクラブは既に福田健二の実績である程度日本人選手に信用を持っている「かもしれない」ヌマンシアかラス・パルマス以外は考えにくい。
尚且つ、「20歳ながら飛び級でオリンピック代表に選出」という文言にしても、スペインのオリンピック代表は通常Sub-21と呼ばれ、基本的に21歳以下の選手で構成される。つまり、20歳でオリンピックの代表に選ばれることなどスペインでは常識の範疇であり、取り立てて珍しいことではない。
ちなみに、マドリーが柏木獲得に乗り出しているのが2日に明らかになったということなのだけれど、1月3日現在、主要なスペインのスポーツ新聞、レアル・マドリーの公式サイト上で「KASHIWAGI」という単語は発見されていない。
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クーマン:「アルベルダ、カニサーレス、そしてアングーロのことは過ぎ去ったことだ」
ロナルト・クーマンといえば、バルセローナをヨハン・クライフが率いていた「ドリーム・チーム」の時代にウェンブレーで行われたチャンピオンズ・カップ決勝において、フリーキック一発でバルサに最初のビッグイヤーをもたらした人物。
ファンからも信頼され、人気もあった選手としてバルサでは過ごしていたが、監督としては冷徹な人物として数々の噂を耳にする。
「耳にする」というのは、僕は実際には彼がこれまで率いていたクラブのことを細かく追いかけてはいなかったし、そこで何があったのかについても大した興味も抱いてこなかったから。
ただ、様々な話や噂を耳にしても、僕個人的にはそれほど驚くようなことでもなかったのは事実だ。
サッカー選手として有能で、才能に溢れた選手だったとしても、それと人間性の話とはまた別になるし、選手としてどうかということと、監督としてどうかということとは、これもまた別の話であることはサッカーを長く見ている人なら誰でもわかることだ。それに、「選手と監督」の場合で才能が異なるのは何もサッカーに限った話でもない。
クーマンが冷徹に選手を切り捨てるだとか、あまりにも人間味に欠ける対応を平気で取るということを聞いて驚いた人はいるのかもしれないけれど、彼の日常生活での態度を見ていると別に不思議でも何でもないと思えたかもしれない。
僕がスペインに住んでいる時、ちょうど彼はバルサで仕事をしていた。確かアシスタント・コーチか何かも途中からしていたような気がする。ただ、とにかくバルセローナには居を構え、バルサのスタッフとして仕事をしていたのは確かだ。
そんな彼と、僕は3回ほどバルセローナの街で遭遇したことがある。一度目はカンプ・ノウの脇にあるバルサ・ミュージアムの駐車場。二度目は街中のレストラン。三度目もカンプ・ノウの駐車場だった。
僕の運が悪かったのか、それともただ単純に彼の機嫌が良くなかったか、激務に追われて多忙過ぎたからなのかは今となってはわからない。もしくは、僕達のように「他人」として彼と公私の生活で接点がない人間には、彼のスペイン語はファン・ハールのスペイン語のように意味不明にしか聞こえないレベルだったのかもしれない。
そうだったとしても。
一度目。駐車場で子供連れのファンが写真撮影を頼んだ時の、
「写真?いいけれど、さっさと撮ってくれ」
(ニコリともせずにカメラも見ないでファンと写真を撮った後)
「もういいか?急いでるんだ」
という会話のやり取りが、プロのサッカー選手として経験を積んできた人物がファンに対して取る「あるべき姿」であるとは思えない。
中田英寿がある時期を境にほとんどの場合プライベートな場所で遭遇したファンとも写真を撮らなかったのは有名だけれど、ひょっとしたらクーマンもそうだったのかもしれない。
二度目に遭遇した時、彼はレストランで2〜3人と食事をしていた。気がついたファンが彼の食事が終わるのを待ち、外に出ようとした時に声をかけていた。
「Hola,señor Koeman.Llevo 20años el socio del Barca.Ví su golazo del final de 92.Pues...estoy muy emocionado de que encontrarle.¿Podría sacar una foto conmigo por favor?」
「こんにちは、クーマンさん。私は20年来のバルサソシオです。92年の決勝での貴方のスーパーゴールも見ましたよ。いやぁ〜、貴方と会えるなんて感激してます。もしよろしければ、私と写真を撮ってもらえませんか?」
声をかけていた男性はけっこう年配で、スペイン人としては珍しく敬語を使ってクーマンに話しかけていた。恐らく、大方のプロスポーツ関係者であれば、この言葉を受けて写真の一枚や二枚くらい撮っていたものだろう。ところがクーマンは彼にこう言った。
「Lo siento,no quiero sacarme ni una foto.」
「悪いが、一枚たりとも写真は撮られたくない」
ハトが豆鉄砲を食らったような顔、というのはこういうのを言うんだと僕は男性の顔を見て初めて思った。すぐ近くで声だけ聞いていた僕も驚いたのだから言われた本人はもっと驚いただろう。そしてショックだったに違いない。
だからクーマンが全て悪い。…という結論に持っていきたいわけではない。彼がそういう性格の人物であることは何も悪いことではないし、ファンが彼に「生き様を変えろ」などと言う権利もない。まあ、対応の仕方はどうかと思うのは事実だけれど。
クーマンのこういうところを見たことがあると、今回バレンシアで起こっていることはあまり僕にとっては意外なことではない。
特に、ソレール会長のこれまでの選手獲得手法や監督人事を含めたクラブの運営方法を見ている限りだと、似たようなことはいくらでも起こる可能性はあっただろう。
クーマンがどういう性格の人物だろうと、どんな監督哲学を持っていようと構わないし、チームの指揮と構成を任された以上は選手の見極めをする権利は有しているわけだから、誰を戦力外にしようが実際には彼の自由だとも言える。
ただし、クラブが選手に対する扱いをどうするかについて言えば、話は別だ。クーマンを擁護するつもりも一切無いけれど、今回のバレンシアがアルベルダ、カニサーレス、アングーロに対して行った仕打ちは、とても血の通ったクラブのすることとは思えない。
恐らくソレールもバカではないから相当の意図があって今回の決定をしたのだろうけれど、ファンの立場に立って考え、ファンを味方につけて今後のクラブ運営を有利に進めようと考えるのであれば、もう少しやり方を慎重に選ぶべきだっただろう。噂になっているように、今回戦力外になった三人が異常な発言権を持ってしまったがために監督人事やその他のクラブ内部における利権争いにまで発展してしまっていたのだとしても、ファンにとってはクラブを発展させてくれた功労者であり、地元から出てきた「最高の息子達」であることに変わりは無い。
そもそも、就任して間もないクーマンだけでこんな決定を下せるわけは無い。もちろん、公式なコメントとして刺激的な台詞を吐く以上、何かしらの恩恵は受けるはずだが、どうせそのうちいなくなる傭兵監督である。スペインの片田舎の人間全員に嫌われたところで痛くもかゆくも無いだろう。
開幕前のセルタにおけるグスタボ・ロペスの一件で思ったが、結局こういうところでクラブとして、言い換えれば会長としてどういうスタンスでクラブ運営をしているのかが露呈される。
ファンを味方にしようとしているのかそうでないのか。
「俺がボスだ」と言いたい様な権力主義者なのかそうでないのか。
クラブのことを愛しているのかそうでないのか。
何のためにクラブの会長になっているのか。
こういうことが長い間クラブに貢献してきた選手に対する対応でハッキリとわかってしまう。そして、恐らくそういうことは選手が一番敏感に感じ取る。「ああ、自分は厄介者だと(この会長には)思われていたんだ」と。
グスタボ・ロペスが夏に流した涙と、今回アルベルダが流した涙が僕には被って見えた。クラブを発展させるためには若手への世代交代が必要。そのためには今この段階でベテランを放出しなければならない。…例えばこんな理由であれば、納得したうえで出て行く選手もいるだろうし、そんな場合ならこんな涙は流さないはずだ。
「バレンシアがキミを放り出したということを知った時、キミの両親はどう感じたかな?」
という質問に、アルベルダは答えることができなかった。そして、答えられず堪えきれず、涙を溢れさせたアルベルダを、記者達は拍手で抱きしめていた。
会長の人間性が露呈するのもこういう場であるなら、選手としての人間性が露わになるのも、こういうシーンであるのだろう。
ただ、こんなシーンはできればあまり見たくないものだと今は思わざるを得ない。
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■El hijo de Antonio Puerta ya es socio del Sevilla
アントニオ・プエルタの息子、セビージャのソシオに
アントニオ・プエルタ・ペレスがこの世を去ってから早2ヶ月。最近ではいちいち対戦相手が花束を抱えて現れたり、毎試合16分に観客が突然黙祷を始めることに「いい加減に止めてはどうか」と監督、選手が口にするなど、その場に居合わせたチームとしての当事者達は忘れようとするのではなく、自分達の中でどうにか区切りをつけようとしている。
そんな中、アントニオ・プエルタとその妻マール・ロルダンに息子が誕生した。先週21日にこの世に生を受けた彼の名前はアイトール・プエルタ・ロルダン。
スペインでは結婚しても男性も女性も自分の苗字が変わることは無く、それでいて子供は両親の苗字を継ぐ。そのため、両親と子供達、親戚それぞれの苗字が異なるケースがほとんどだ。スペイン人の苗字は多くの場合基本的に二つあり、最初に父親の父方姓、次に母親の父方姓が連なる。
だから例えば、ホセ・マヌエル・ゴンサーレス・エルナンデスという男性が、マリア・ピラール・グティエレス・ペレスという女性と結婚し、彼らにフアン・ホセという息子が生まれた場合、フアン・ホセ・ゴンサーレス・グティエレスという姓名になる。
で、そのセビージャ中から祝福を受けたであろうアイトール君のもとには、セビージャF.C.からソシオカードがプレゼントされ、さらにはいずれ彼に渡すために、父親アントニオ・プエルタの16番のユニフォームがクラブ事務所に保管されているという。
約4000gで生まれたアイトールはまだサグラード・コラソン病院に母親と入院しているが、彼の人生に絶え間なく光が注がれることを祈るばかりだ。
■Del esplendor a las dudas del Sevilla
セビージャの憂鬱に光が挿す
そしてチームもまるでアイトールの誕生を祝うようにチャンピオンズ・リーグ第3節の試合を2?1で勝利し、尚且つカヌーテが16分を過ぎる直前にゴールを決め、8月28日以降、エスタディオ・ラモン・サンチェス・ピスフアンでは初めて16分に万雷の拍手が鳴り響いた。
スペイン各紙は、「アントニオ・プエルタに対するこれ以上ない最高の敬意が捧げられた」とこぞって報じている。
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